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セルフローダーとは?セーフティローダーとの違いや必要な資格、中古選びを解説

セルフローダーとは、建設機械や車両を運搬するためのトラックの一種です。荷台を傾斜させ、道板(あゆみ板)を使って自走可能な重機などを積み込める構造が特徴です。

この記事では、セルフローダーの基本的な仕組みから、よく比較されるセーフティローダーとの違い、運転や操作に必要な資格、安全な取り扱い方法について解説します。
また、導入コストを抑えたい事業者向けに、中古のセルフローダーを選ぶ際の重要なポイントも紹介します。

セルフローダーとは?(構造・活躍シーン)


セルフローダーとは、油圧式の装置を使って荷台を傾け、車両や重機を自力で積み降ろしできるトラックの通称です。この便利な機能から「ローダー(Loader)」という名称が付き、その中でも自走で積み込めるタイプを指してセルフローダーと呼ばれます。

その特徴的な構造により、建設現場や自動車整備工場など、さまざまな場面で重宝されています。
ここでは、セルフローダーの基本的な仕組みと、具体的な用途について説明します。

車両や重機を自走で積み込める荷台の仕組み

セルフローダーの最大の特徴は、重機などを自走で積み込みできる、以下のような荷台の仕組みにあります。

主な仕組みは次のとおりです。

1.油圧シリンダーで荷台を後方へチルト(傾斜)させる
2.道板(あゆみ板)を地面に接続し、重機を自走で載せる
3.ウインチが装備されている車両では、不動車も巻き上げて積載可能
4.積み込み後は荷台を水平に戻し、ラッシングでしっかり固定する

このスロープを使い、バックホーやロードローラーなどの建設機械が自走して荷台へ乗り込むことが可能です。

一連の動作により、クレーンなどの重機がない場所でも効率的な積み込み作業が実現します。

建設機械や不動車の運搬で重宝される主な用途

セルフローダーは、その構造から多様な積載物の運搬に対応できます。
主な用途は、次のとおりです。

主な用途 詳細
建設現場、土木工事 小型〜中型重機の回送に欠かせない
自動車整備、レッカー業務 故障車、事故車など不動車をウインチで積載できる
農業、林業 トラクター、草刈機、ユンボなどの農林機械の移動に利用される
中古車輸送、オークション会場間の回送 車両の短距離移動や場内回送に使われることが多い
設備搬入、産業機械の運搬 工場設備や産業用機械など、重量物の搬入にも対応

セルフローダーは「自走できる機械はもちろん、不動車も運べる」という汎用性の高さが評価され、幅広い業種で不可欠な存在となります。

一目でわかる!セルフローダーとセーフティローダーの違い


セルフローダーと似た用途で使われる車両に「セーフティローダー」があります。どちらも車両や重機を運搬するトラックですが、その積み込み方法に根本的な違いが存在します。

主な違いは下記のとおりです。

セルフローダー セーフティローダー
積み込み方式 荷台を傾斜させ、あゆみ板で積み込む 荷台がスライドして接地する
得意な積載物 重機、建設機械、農機具、不動車 乗用車、ミニバン、車高の低い車
向いている現場 建設現場、土木工事、重機回送 レッカー業務、中古車輸送
操作の特徴 傾斜角の調整が必要 水平に近く扱いやすい

セルフローダーとセーフティローダー、それぞれの積み込み方法の違いについて詳しく見ていきます。

【セルフローダー】荷台を傾斜させて道板(あゆみ板)で積み込む

セルフローダーは、車体前方のジャッキでフロント部分を持ち上げて荷台に傾斜をつけ、車両後方の道板(あゆみ板)を地面に下ろしてスロープを作ることで積み込みをおこないます。

この方式は構造が比較的シンプルな点が特徴です。荷台の左右にアオリがないフラットなタイプが多いため、運搬する重機の横幅にある程度の融通が利きます。

ただし、荷台を傾斜させるため、スロープの角度が比較的急になる傾向があり、車高が低い車両の積み込みには不向きな場合があります。
そのため、主に建設機械や農業機械など、ある程度の車高と登坂能力を持つ車両の運搬に適しています。

【セーフティローダー】荷台全体がスライドして地面に接地する

セーフティローダーは、荷台そのものが油圧によって後方へスライドし、荷台の後端が地面に接地する構造を持っています。この方式により、セルフローダーに比べてスロープの傾斜角度を非常に緩やかにすることが可能です。

そのため、車高の低いスポーツカーやカスタムカー、フォークリフトなど、わずかな段差でも車体下部を擦る恐れがある車両の運搬に適しています。

また、道板を設置する手間がないため、より安全かつスムーズに積み込み作業をおこなえる点が大きな利点です。一方で、荷台がスライドする分、後方に広い作業スペースを必要とします。

セルフローダーの運転・操作に必要な免許と資格


セルフローダーを業務で使用するためには、車両を公道で運転するための運転免許証が必須です。

さらに、車両に装備された特定の装置を操作する際には、別途資格の取得が推奨される場合があります。安全な運行と作業のためには、どのような免許や資格が必要になるのかを正しく理解しておくことが重要です。

ここでは、セルフローダーの運転と操作に関連する免許・資格について解説します。

車両総重量に応じた運転免許証が必要

セルフローダーの運転に必要な免許は、車両の大きさ、特に車両総重量と最大積載量によって決まります。

一般的には以下の区分が基準となります。

免許区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員
普通免許 3.5t未満 2.0t未満 10人以下
準中型免許(5t限定)※旧普通免許
(H29以前取得)
5t未満 3t未満
準中型免許 7.5t未満 4.5t未満
中型免許(8t限定)
※旧普通免許(H19以前取得)
8t未満 5t未満
中型免許 11t未満 6.5t未満 29人以下
大型免許 11t以上 6.5t以上 30人以上

小型の2トン3トンクラスから、中型の4トン増トンクラス、大型の10トンクラスまで多様なサイズのセルフローダーが存在するため、運転する車両の重量を車検証で確認し、対応する免許を所持しているか確かめる必要があります。

ウインチ操作は「巻上げ機運転特別教育」の受講が推奨

セルフローダーには、不動車などを荷台へ引き上げるためのウインチが装備されていることがあります。このウインチを業務で操作する場合、労働安全衛生規則により「巻上げ機(ウインチ)の運転業務に係る特別教育」の修了が求められます。

この特別教育は、ウインチの構造や操作方法、関連法令、安全に関する知識などを学ぶもので、学科と実技の講習で構成されています。

資格がなくても罰則の対象にはなりませんが、安全管理の観点から、事業者は作業者に特別教育を受けさせることが強く推奨されます。
特に不動車の運搬を主な業務とする場合は、受講が不可欠です。

事故を防ぐ!セルフローダーの注意点


セルフローダーは重量のある建設機械や車両を運搬する特殊なトラックであり、その取り扱いには細心の注意が求められます。積み下ろし作業時や公道走行時の操作を誤ると、車両の転倒や積載物の落下といった重大な事故につながる危険性があります。

安全に運用するためには、基本的な注意点を遵守し、常に危険を予測しながら作業をおこなう意識が不可欠です。

ここでは、セルフローダーを安全に扱うための重要なポイントを解説します。

【注意点1】積み下ろしは平坦で広い場所を確保して行う

セルフローダーでの積み下ろし作業は、事故のリスクが最も高い工程の一つです。作業をおこなう前には、必ず周囲の安全を確認し、平坦で地盤の固い、広い場所を確保してください。傾斜地や砂利道などの軟弱な地盤で作業をおこなうと、ジャッキが沈み込んだり、道板がずれたりして車体が不安定になり、転倒事故を引き起こす原因となります。

また、作業スペースが狭いと、周囲の人や物に接触する危険性が高まります。作業中は第三者が近づかないように配慮し、常に落ち着いて操作をおこなうことが、安全確保の基本です。

【注意点2】積載物は規定内に収め、ラッシングベルトで確実に固定する

運搬する車両や重機を荷台に積載した後は、走行中に動かないよう確実に固定する必要があります。

まずは、車両の最大積載量を厳守し、過積載にならないように注意します。積載物を荷台に乗せたら、ラッシングベルトやチェーン、固縛具などを使用して、複数の箇所をしっかりと固定してください。

特に建設機械は重心が高く不安定になりやすいため、四方を確実に固縛することが重要です。
固定が不十分な場合、走行中の振動やカーブ、急ブレーキなどで荷崩れが発生し、重大な事故につながる恐れがあります。出発前には必ず固定状態の再確認をおこなう習慣が求められます。

【注意点3】公道を走行する前に特殊車両通行許可の要否を確認する

セルフローダーは、積載する重機によっては道路法で定められている一般制限値(幅2.5m、高さ3.8m、長さ12m、総重量25tなど)を超える場合があります。

これらの基準値のいずれか一つでも超える車両で公道を走行する場合、道路管理者の「特殊車両通行許可」を事前に取得しなければなりません。許可なく走行した場合、罰則の対象となります。

特に、幅の広い建設機械を積載する場合や、全長が長くなるケースでは注意が必要です。運搬する積載物の寸法と重量を正確に把握し、公道を走行する前に必ず許可の要否を確認する手続きが求められます。

小型クラスの「セルフローダーS」とはどんな車両?

セルフローダーS(セルフS)は、一般的なセルフローダーよりもひと回り小さい「小型クラス」の積載車を指します。

街中の工事現場や狭い敷地内での作業を想定してつくられており、小回りがきくことから、扱いやすいセルフローダーとして人気があります。
特徴としては、以下の点が挙げられます。

内容
ベース車両 小型トラック(2t〜3tクラス)
サイズ感 狭い道路や住宅街でも走行しやすい小回り性が高い
積載対象 ミニバックホー、ミニホイールローダー、小型農機など
荷台の機能 荷台チルト・あゆみ板・ウインチなど、通常セルフと同等装備
必要免許 車両総重量により普通〜準中型免許で運転可能な車両も多い
使用シーン 造園業・農業・小規模工事・設備の軽輸送など
中古セルフローダーを購入する前に確認したい3つのポイント


セルフローダーの導入を検討する際、新車は高価なため、コストを抑えられる中古車の購入は有効な選択肢となります。しかし、中古車は車両ごとに状態が大きく異なるため、購入前にしっかりとチェックしなければ、後から高額な修理費用が発生するリスクも考えられます。

特にセルフローダーはトラック本体だけでなく、油圧装置などの架装部分の状態も重要です。ここでは、中古セルフローダーの購入で失敗しないために、事前に確認すべき3つのポイントを解説します。

ポイント1:最大積載量と車両サイズが用途と合っているか

中古セルフローダーを選ぶ上で最も基本的なことは、自社の用途に合った仕様の車両を選ぶことです。

まず、主に運搬する建設機械や車両の重量を確認し、それに対応できる最大積載量を持つセルフローダーを選定します。積載量に余裕がないと、将来的に少し重い機械を運ぶ必要が出た際に使用できなくなるため、少し余裕を持たせた選択も有効です。

また、荷台の長さや幅といったサイズも重要で、運搬物の大きさに対応できるかを確認する必要があります。車両全体の大きさも、普段走行する道路や作業現場の広さを考慮して、適切なものを選ぶことが求められます。

ポイント2:ウインチやラジコンなど架装部分の動作は良好か

セルフローダーの価値は、荷台を動かす架装部分の性能に大きく左右されます。中古車を確認する際は、エンジンや走行系だけでなく、架装部分の動作を入念にチェックすることが不可欠です。

特に、下記の点を確認してください。

・荷台チルト操作がスムーズに動くか
・油圧シリンダーからのオイル漏れがないか
・あゆみ板に曲がり、損傷がないか
・ウインチで正常に巻き上げ、巻き下げできるか
・ラジコン操作が可能か、受信機の故障がないか

架装の修理は高額になることも多いため、購入前に必ず実動チェックを行うことが不可欠です。

ポイント3:走行安定性に関わる車両の軸数を確認する

セルフローダーは重量物を積載して走行するため、走行安定性が非常に重要です。車両の安定性に関わる要素の一つに、タイヤの軸数があります。

一般的なトラックは前輪が1軸、後輪が1軸の「2軸車」ですが、中型以上のセルフローダーには後輪が2軸ある「3軸車」も存在します。

3軸車は2軸車に比べてタイヤの数が多く、地面との接地面積が広がるため、重量物を積んだ際の安定性が向上します。

特に高速道路を走行する機会が多い場合や、重い建設機械を頻繁に運搬する場合は、走行安定性や制動性能に優れた3軸仕様の車両を選ぶことが安全な運行につながります。

セルフローダーについてよくある質問


ここでは、セルフローダーに関して寄せられることの多い質問に回答していきます。セルフローダーは特殊な車両のため、購入や運用に関して疑問を持つ方も少なくありません。最適なセルフローダー選びの一助となるよう、ここではよくある質問とその回答をまとめました。

セルフローダーの1日あたりのレンタル料金は?

セルフローダーのレンタル料金は、車種や積載量、レンタル期間によって大きく変動します。

相場感は、次のとおりです。(※1日あたり)

小型(積載量5~10トン):1日あたり15,000円〜30,000円
中型(積載量10~20トン):30,000円〜50,000円
大型(積載量20トン以上):50,000円〜80,000円

また、レンタル会社や地域によっても料金設定が異なるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。長期間のレンタルになると、日割り単価が安くなるプランも用意されている場合がありますので、事前に確認することが重要です。

セルフローダーは何トンまで運転できる?

セルフローダーは、車両総重量によって運転できるトン数が異なります。

普通免許の場合、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満の車両まで運転可能で

準中型免許(5トン限定)では車両総重量5トン未満、中型免許(8トン限定)では車両総重量8トン未満、中型免許では車両総重量11トン未満まで運転できます。

大型免許を取得していれば、車両総重量11トン以上の大型セルフローダーや、最大積載量6.5トン以上の車両も運転可能です。このように、運転できるセルフローダーのトン数は、取得している運転免許によって変わります。

どのメーカーのセルフローダーが良いの?

セルフローダーは複数のメーカーから販売されており、それぞれ特徴があります。

主要なメーカーとしては、タダノや古河ユニック、花見台自動車などが挙げられます。タダノはクレーンや高所作業車のトップメーカーであり、その技術を生かした高性能なセルフローダーを提供しています。

古河ユニックも特装車メーカーとして知られ、耐久性と操作性に優れた製品が特徴です。

花見台自動車は、特にセーフティローダーで高い評価を得ていますが、セルフローダーも手掛けています。どのメーカーが良いかは、積載する重機の種類や頻度、使用する道路環境、予算などによって異なるため、用途に合ったメーカーの製品を選ぶことが大切です。

まとめ


セルフローダーは、建設機械や車両の運搬に欠かせない特殊車両であり、荷台を傾斜させて自走で積み込める点が最大の特徴です。類似するセーフティローダーとの違いは積み込み方法にあり、用途に応じて選ぶ必要があります。運転には車両総重量に応じた免許が、ウインチ操作には特別教育の受講が求められます。

中古車を選ぶ際は、積載量やサイズ、架装部分の動作、軸数などを入念に確認することが重要です。三菱ふそうの「スーパーグレート」「ファイター」「キャンター」や、日野の「レンジャー」など、様々なトラックをベースにしたセルフローダーが市場で活躍しています。

  • セルフローダーは荷台を傾斜させ、重機を自走で積み込める構造が特徴
  • セーフティローダーは荷台がスライドして接地するため、車両運搬に向いている
  • 車両総重量に応じて普通〜大型免許が必要(多くは準中型以上)
  • ウインチ操作には巻上げ機運転特別教育の受講が推奨される
  • 中古購入では「積載量」「架装状態」「軸数」を中心にチェックするのが重要

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