平ボディトラックの荷台寸法をサイズ別にご紹介!大きさによって異なる積載重量の計算式とは?
多くの人は、トラックと聞いてイメージするのは平ボディのトラックではないでしょうか。平ボディは、昔から基本的なデザインが変わらないものの、抜群の荷役性能を誇っています。
また、汎用性も高いことから、平ボディのトラックはさまざまな業種に活用され、中古トラック市場でも多くの平ボディが取扱われています。しかし、小型~大型までの車両区分で荷台寸法が大きく変化し業種によって適したサイズが異なることをご存知でしょうか。ここでは、荷台寸法に注目しながら2トン、4トン、10トンの平ボディトラックを紹介します。
目次
平ボディのトラックとは?
平ボディのトラックは大きな荷台と荷台を囲むアオリで構成されている非常にシンプルなものです。
トラックの原型とも言えるデザインの車両で、小型車から大型車までさまざまな車両区分でラインナップされています。
高い荷役性能から、一般の運送業務はもちろん、建築現場や引越しなど、幅広いフィールドで活用されています。
また、中古トラック市場でも取り扱い台数が非常に多いトラックです。
平ボディのメリットとデメリットは?
平ボディのトラックの特徴は、荷台がオープンデッキであることが挙げられます。
これにより、高い荷役性を発揮します。
反面、オープンデッキであることで生じるデメリットが存在するのも事実です。
ここでは、平ボディトラックのメリットとデメリットを紹介します。
平ボディのメリット
オープンデッキの荷台のため、平ボディのトラックは、積荷の形にとらわれることなく全ての積荷の運搬を行うことができる点がメリットだと言えます。
通販や小包などの小さな荷物から、家具や大型家電品などの比較的大きな荷物ももちろん対応可能。
さらには、工業用機械や事業用機器など、幅広く対応できます。
また手積み・手降ろしやフォークリフトやクレーンなど、あらゆる荷積み荷降ろし手段に対応できます。
そして、アルミバンでは入庫できない 天井の低い現場に入庫できる点も、平ボディのメリットではないでしょうか。
アルミバンやウイングなど、荷台が箱型の車両に比べると、平ボディのトラックは、車両価格がリーズナブルな点も大きな魅力です。
中古トラック市場では平ボディのトラックは取扱台数が多くあります。
それだけ車両の入れ替えや需要の高さがあるのです。
また、数が多いため、予算に合わせて車両を選ぶことができるのも平ボディのメリットです。
平ボディのデメリット
多くのメリットを生み出す平ボディのトラックですが、デメリットも潜んでいます。
平ボディの荷台では積み荷が露出している状態なので、必ずシートをかける必要があります。
防水シートをかけることで積み荷が濡れることや汚れることを予防できます。
しかし、バンタイプのものと比べると、濡れや汚れのリスクが高くなるのが平ボディのデメリットです。
また、万が一運送中に荷崩れを起こした場合は積み荷の飛散や落下に繋がりやすい点にも、十分注意する必要があります。
平ボディで荷崩れを起こすと、そのまま道路に落下し、後続車が事故を起こす可能性もあるのです。
積載の量、高さに注意しましょう。
さらに、荷台を外から守るものがないため、防犯性能が低いのも平ボディのデメリットです。
平ボディでの運送中は、積み荷の管理によりいっそうの注意が求められます。
平ボディトラックの荷台寸法と活躍が期待できる事業
中古トラックを選ぶ際、「どのくらいの積荷を載せられるか?」は非常に気になるところです。
購入前に中古トラックの正確な荷台寸法を知っておくことで、どんな事業に関われるかが決まります。
平ボディのトラックの荷台寸法は、次に挙げるものが一般的だと言われています。
・大型平ボディ:長さ9,000mm前後・幅2,400mm前後・荷台高さ450mm前後
・中型平ボディ:長さ6,200mm前後・幅2,130mm前後・荷台高さ400mm前後
・小型平ボディ:長さ3,150mm前後・幅1,800mm前後・荷台高さ220mm前後
これはあくまでも一般的な数値です。
ひと口に平ボディと言っても、製造するメーカーや車種によって荷台寸法は異なります。
では、どのように違うのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
大型トラック(10t)の荷台寸法と活躍が期待できる事業
国内主要4メーカーの大型トラックの荷台寸法は以下の通りです。
メーカー | 車種 | 荷台長 (mm) |
荷台幅 (mm) |
荷台高 (mm) |
日野 | プロフィア | 9,670 | 2,490 | 267 |
三菱ふそう | スーパーグレート 「ショートキャブ」 |
10,030 | 2,340 | 450 |
スーパーグレート 「フルキャブ」 |
9,550 | 2,340 | 450 | |
スーパーグレート 「スーパーフルキャブ」 |
9,600 | 2,340 | 450 | |
UDトラックス | クオン | 9,500 | 2,490 | 450 |
いすゞ | ギガ | 5,100 | 2,490 | 500 |
巨大な荷台を持つ平ボディの大型トラックは、中、長距離の運送業務で活躍しています。
取り扱われる積み荷の種類もさまざまですが、家具や大型家電品などの比較的大きな荷物の運搬に役立ちます。
また、工業用機械などの大きく重量のある荷物の搬送に用いられるケースが多いです。
加えて、小型の重機の回送などに使われることもあり、1台あれば幅広い活躍を期待できるのが大型の平ボディトラックなのです。
車両価格は、キャブの形状やメーカーにもよりますが、新車が1800~2200万円前後、中古車がどれだけ高くても700万円以内となります。
大型トラックの平ボディ車の中古車価格が新車価格の半額以下なのは、走行距離によるものです。
そうそう買い替えることのない車両なだけに、走行距離はどれだけ少なくても30万キロ近くは走っていると覚悟して購入を検討しましょう。
中型トラック(4t)の荷台寸法と活躍が期待できる事業
中型トラックは細かなニーズに応えるために5つのボディタイプに大別することができます。
荷台寸法も、ボディタイプによって大きく異なり、同じボディタイプでもメーカーや車種によっても荷台寸法が若干異なります。
以下の一覧は、ボディタイプによる荷台寸法の標準サイズです。
・標準ボディ:長さ6,200mm前後・幅2,130mm前後・荷台高さ400mm前後
・ロングボディ長さ7,200mm前後・幅2,130mm前後・荷台高さ400mm前後
・スーパーロングボディ:長さ8,200mm前後・幅2,130mm前後・荷台高さ400mm前後
・ワイドボディ:長さ6,200mm前後・幅2,340mm前後・荷台高さ400mm前後
・ショートボディ:長さ4,350mm前後・幅2,040mm前後・荷台高さ400mm前後
では、具体的に見ていきましょう。
国内主要メーカーの中型トラック荷台寸法は以下のとおりです。
メーカー | 車種 | 荷台長 (mm) |
荷台幅 (mm) |
荷台高 (mm) |
日野 | レンジャー 「標準キャブ」 |
7,040mm | 2,360 | 390 |
三菱ふそう | ファイター 「フルキャブ」 |
6,200 | 2,120 | 400 |
マツダ | タイタン 「標準キャブ」 |
4,355 | 1,790 | 380 |
UDトラックス | コンドル | 6,200 | 2,120 | 400 |
いすゞ | フォワード 「フルキャブ」 |
6,200 | 2,150 | 400 |
大口の運送よりも小口の運送に適しているのが中型トラックの特徴です。
長距離の運送も可能なため、家具や大型家電などの比較的大きな荷物の運送や引越しを得意とします。
また、大型と同じく、工業用機械などの大きな荷物や引越し業務などで活躍しています。
ディーラーオプションで、中型トラックには寝台の設定ができます。
寝台は長距離運送には便利です。
ただし、その分キャブが大きくなってしまうため、荷台寸法が小さくなってしまうというデメリットも。
寝台を無くしたショートキャブであれば、キャブが小さくなった分多くの荷物の積み込みができます。
どちらを選ぶかは取引先との関係もあるでしょう。
事業内容に適した車両を選ぶことをオススメします。
中型平ボディトラックの価格ですが、新車では900~1000万円前後、中古車価格では500万円以内といったところです。
大型トラックよりもやや安いぐらいで、あとは走行距離や年式次第というポイントは変わりません。
大型トラックよりも走行距離が少なく、まだまだ現役で使えるトラックが多い<のも、中古の中型トラックの特徴と言えるでしょう。
小型トラック(2t)の荷台寸法と活躍が期待できる事業
中型トラック同様に小型トラックも3つのボディタイプに大別することができます。
こちらも、同じボディタイプでもメーカーや車種によって荷台寸法が異なります。
各ボディタイプの標準的な荷台寸法は次の通りです。
メーカー | 車種 | 荷台長 (mm) |
荷台幅 (mm) |
荷台高 (mm) |
日野 | デュトロ | 3,115 | 1,695 | 300 |
三菱ふそう | キャンター | 3,120 | 1,615 | 380 |
トヨタ | ダイナ | 2,850 | 1,600 | 380 |
マツダ | タイタン | 3,120 | 1,620 | 380 |
いすゞ | エルフ | 3,120 | 1,620 | 380 |
※UDトラックスは2トン車「カゼット」は、三菱ふそうのOEMのため省略。
平ボディの小型トラックは、主に通販や小包などの小さな荷物や市内の家電配送に利用されます。
また、建設資材の運搬や、工事現場の資材搬入も得意としているのが特徴です。
その反面、小型平ボディのトラックでは、近距離や中距離まで対応できるものの長距離には不向きです。
あくまで近距離の荷物運搬がメインと考えるべきでしょう。
一般的には量販店の配達業務や小規模な引越し業種での活躍が中心です。
しかし、平ボディトラックゆえの荷役性能の高さから、小型であっても活躍の場が広く大きなメリットだといえるのではないでしょうか。
小型平ボディトラックの気になる相場ですが、大型・中型とやや状況が異なります。
新車価格が200~400万円前後なのに対して、中古車価格は90~300万円と、そう大差がないことがわかります。
理由は小型トラックが一番需要が高いことと、車両によっては5トン未満の限定免許で運転できることが多いからです。
平ボディトラックはどのメーカーがいい?
平ボディのトラックは、国内のトラックメーカー4社のほぼすべての車種でラインナップされています。
平ボディのサイズは、メーカーやトラックサイズごとに異なりますが、果たせる役割は大差ありません。
高い荷役性能は、平ボディという荷台形状の特徴なので、メーカーごとに差が出ないのは知っておきましょう。
その上で、あえてメーカーを気にするのであれば、トラックの特徴で判断するといいです。
パワーよりも安定した走行性能を重視するのであれば、いすゞと三菱ふそうがオススメです。
ほかの2社も安定していないわけではありませんが、いすゞと三菱ふそうは、そのエンジン性能からオールラウンダー的な立ち位置にあります。
また、特にいすゞに言えることですが、環境面を重視するなら、いすゞのみが現状製造しているCNG車を選んでみてはどうでしょうか。
CNG車とは、天然圧縮ガスを燃料とする車両のことで、環境性能の高さから、近年人気が高まっています。
一方で、パワーを追求するのであれば、日野かUDトラックスが候補になります。
どちらもトラクターとして、牽引車両に多く採用されている実績があり、パワーは折り紙付きです。
長距離で、かつ重量物をメインで輸送する平ボディトラックならこの2社から選ぶといいでしょう。
平ボディという同じ荷台形状では差が出ないので、トラックの特徴で切り分けて判断するといいです。
運搬するものや、事業内容に合ったメーカーのトラックを購入しましょう。
平ボディトラックを中古購入するポイントとは?
平ボディのトラックは、新車市場でも、中古車市場でも非常に人気が高いのが特徴です。
特に、中古で購入すると、車両価格も安く、ものによってはある程度の装備がついているものも存在します。
しかし、何も知らないまま購入してしまうと、あとから痛い目にあうこともあります。
そんなことにならないように、ここでは2つの中古平ボディトラック購入のポイントをご紹介します。
扱う荷物とアオリの関係
平ボディトラックを購入するということは、何かしらの荷物を運搬することになります。
その際に気にするべきポイントに、アオリの種類と状態があるのです。
アオリの材質には、鋼、木、アルミ、そしてステンレスの4種類があります。
これらのアオリには、それぞれ得意分野があり、平ボディトラックを中古購入する際の判断基準になるでしょう。
簡単に説明すると、鋼製のアオリは鋼材や重量物に、アルミ・ステンレス製のアオリは軽量の荷物に、そして木製アオリは金属製品や精密機器などのデリケートなものに適しています。
もちろん、得意なだけであって、ここに紹介した以外の荷物を積載しても問題はありません。
また、中古の平ボディトラックでは、特にアオリの経年劣化に注意が必要です。
見た目はきれいでも、丁番にサビやゆがみがあったり、アオリそのものにゆがみがあったりするものは避けましょう。
アオリの修理となると、どんな部分でも板金になるため、修理費が高額になりがちだからです。
もし予算に都合をつけられるなら、いっそのことアオリ全体を新しくする方法もありです。
ただ、多くの場合は中古購入した状態でトラックを使用することがほとんど。
もし、アオリ部分に手を加える余裕がないのであれば、アオリの状態まで入念にチェックしておきましょう。
安すぎる場合には要注意
平ボディトラックは、数あるトラックの荷台バリエーションの中でも安い部類に入ります。
しかし、中古車市場においては、中古車のはずなのに新車と販売価格が変わらない平ボディトラックも少なからず存在します。
平ボディトラックの人気の高さからこのような値段設定になっているわけですが、一方で値段が安すぎる中古車には注意が必要です。
中古車の販売価格に影響するのは、年式、走行距離をはじめとするコンディションと、事故歴などの修理履歴です。
平ボディトラックの場合であれば、アオリの状態も影響してくるでしょうが、どちらかといえばトラックそのものに安くなる原因があります。
あまりに安い中古車は、過去に深刻な故障や事故を経験した車体が多いです。
そのため、最初のうちは問題なく走行できていても、しばらくするといたるところに不具合が出てくることも珍しくありません。
また、年式が著しく古かったり、走行距離が多かったりするトラックも注意が必要です。
中古購入したトラックは、納車前に新規登録検査という整備と検査をしなければなりません。
あまりにも年式が古いものや、走行距離が多いものは、この整備の段階で高額な費用がかかる場合もあるからです。
車両の大きさや、任意のカスタマイズにもよりますが、新規登録検査の整備だけで、おおよそ20~50万円以上はかかると思っておきましょう。
平ボディトラックは過積載や荷物の積み方に要注意!
平ボディのトラックは、サイズの違いはあれど、抜群の荷役性能と高い車載性を持っていることはお話したとおりです。
しかし、天井がない分、過積載になってしまいがちなのは要注意です。
平ボディの最大のメリットでもあり、デメリットでもあるのが車載性なのですが、オープンデッキであるがゆえに、ついついうず高く荷物を積んでしまいます。
街を走っている際、見てるこちらが怖くなるぐらいの荷物を積んでいる平ボディトラックも見かけます。
もしそのようなトラックの荷物がこちらに落ちてきたらと考えると、とても危険な積み方であることは簡単に想像できるのではないでしょうか。
キャブに荷物を積んでいることはまずありえませんが、過積載は道路交通法で厳しく罰せられます。
過積載が発覚すると、免許の違反点数6点、6か月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金です。
これらの罰則は決して軽いものではありません。
そのため積載する荷物の重量には十分注意をしましょう。
また、平ボディがオープンデッキゆえに気をつけたいのが、荷物の積み方です。
アオリをはみ出して荷物を載せないことが一番安全ですが、どうしてもそうもいかない場合もあります。
もし、平ボディに背の高い荷物を積んだり、多くの荷物を縦に積んだりする場合は、荷物が倒れたり飛ばないようにしましょう。
具体的には、アオリに幌や防水のトラックシートをかける、ガッチャやロープで荷締めするなどです。
荷物が飛んで行ってしまい、後続車に衝突すれば、運転手や事業者がその責任を問われるのは言うまでもないでしょう。
故意に荷物を落としたときは、過失であった場合10万円以下の罰金が科せられます。
まとめ
平ボディの中古トラック購入時の参考となる荷台寸法とオススメのメーカー、購入時の注意点を中心に紹介してきました。
事業効率を上げるために、用途にあった平ボディトラックを購入することを強くオススメします。
失敗しないように、本当にその用途に合っているかは、トラック購入前に必ず確認しましょう。
トラックの購入は、たとえ中古車であっても非常に高額な買い物です。
あわせて、トラックサイズに合った運用を心がけるようにしましょう。
大きければいいというわけでもないので、事業規模をしっかりと見つめて、トラックサイズも確認しておくことが必要です。
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- ボディサイズによって荷台の大きさが異なる
- 購入する前には、アオリの状態とトラック本体の状態を確認する
- トラックの大きさで活躍できる現場が異なる