ダンプの荷台名称一覧|はみ出しルールとロープの結び方や種類を徹底解説
ダンプの荷台にはさまざまなパーツが取り付けられています。荷台の名称や取り付けられている意味を知ることで正しく使用ができます。また、荷台のはみ出しルールやロープの結び方についてもご紹介します。
目次
ダンプの特徴
ダンプは、荷台を傾け積荷を一度に下ろすことができます。主に、土砂や産業廃棄物などを運搬するために用いられます。
英語で、「(荷物などを)どさっと下ろす」という意味があります。
【図解】ダンプの荷台名称
ダンプの荷台には、いろいろな部品が取り付けられていて、それぞれ名称があります。その名称と使用用途を合わせてご紹介します。
①コボレーン(飛散防止装置)
コボレーンとは、ダンプの荷台側面や上部から、土や砂などがこぼれ落ちないようにする飛散防止装置です。パタンコと呼ばれる場合もあります。
走行中に搬送物が落下すると事故につながる危険があるため、コボレーンをつけ搬送物を落下させないようにする必要があります。
電動と手動のパターンがあります。
コボレーンを使用しないときは、荷台の内側に収納しておくことができます。
②足かけ(荷台ステップ)
荷台の上で作業する場合、足かけを使い荷台にのぼります。この足かけを別名「荷台ステップ」とも呼び、側面に設置されている場合がほとんどです。
のぼる場合だけでなく、おりる際にも足かけを使用すれば安全に移動ができます。
③プロテクタハシゴ
プロテクタハシゴとは、ダンプの上部の鳥居に上るために設置されています。 設置場所は荷台の先端側になります。
④サイドガード
左右側面に装着されているサイドガードは、歩行者などの巻き込み防止のために設置されています。巻込防止装置とも呼ばれ、保安基準でも義務付けられている装置です。
普通自動車などに比べ内輪差や死角の多いダンプは、カーブを曲がる際に人や自転車を巻き込んでしまい事故を起こす可能性があります。そのような事故を未然に防ぐため、サイドガードが設置されています。
⑤アオリ
アオリとは、左右と後方の3面に設置されている荷台の枠のことで、開閉させることで積載物の積卸を楽にします。
また積載物の転倒防止にも役立ち、アオリのフックにロープをかけ固定すればより安全に搬送できます。
⑥鳥居
鳥居とは、荷台と運転席の間に設置されている装置で、神社の鳥居に形が似ていることから、この名称が付いています。
荷台の積み荷が崩れて、運転席側に倒れてきても大丈夫なように設置されています。
⑦ホイスト機構
ホイスト機構とは、荷台を上下させるピストンです。
ホイスト機構には油圧式と電動式の2種類があり、荷台が下がった状態では荷台の下に隠れていますが、荷台があがったときに画像のように見ることができます。
⑧ヒンジ
ヒンジとは、アオリを閉めたまま固定するためのパーツです。アオリを開け閉めすると使用頻度が高いため、動きが悪くなったり、壊れやすいパーツでもあります。
壊れたまま走行すると、アオリが突然開き積載物落下の原因になってしまい危険なため、壊れた場合は速やかに修理することをおすすめします。
⑨メインフレーム
メインフレームとは、荷台の底やアオリなどを支える骨格部分のことで、重要な部分です。
腐食などによって強度が下がるので、錆びないように定期的にチェックと清掃は必要不可欠です。
⑩安全棒
安全棒とは、ダンプの荷台をあげた際、落下を防止するための装置です。ダンプによって安全棒の数は違いますが、1〜2本が一般的です。
仮にホイスト機構が突然故障した場合でも、安全棒で一時的にでも支えることができます。そのため荷台をあげた際は必ず安全棒の使用をおすすめします。
⑪デッキ
デッキとは、荷台の底の部分のことで、「デッキ(deck)」英語で床や甲板を意味します。
積載物を載せる際、最も使用する部分であり、デッキの広さで積載量が変わります。
荷台のはみだしルール
トラックに積載できる荷物の重さや長さ、幅には基準があり、道路交通法57条で定められています。この基準を超えると、罰則の対象になるため必ず積載物の寸法を確認してください。
道路交通法における積載物の規定は下記のとおりです。
・幅:自動車の幅にその幅の10分の2の幅を加えたもの ・長さ:自動車の全長に、その長さの10分の1の長さを加えたもの ・高さ:3.8mからその自動車の積載をする場所の高さを減じたもの |
荷台からはみ出しても運搬できる?
荷台から積載物がはみ出しても運搬は可能です。
ただし規定を超える荷物を積載する場合は、管轄の警察署や交番へ「制限外積載許可」の申請が必要です。警察署に申請するのか、交番へ申請するのかによって、はみ出し可能なサイズが異なるため、必ず運搬する物の寸法と荷台寸法の確認が必要です。
■申請場所によるはみ出し寸法一覧
交番 | 警察署 | |
幅 | 自動車の幅以下 | 全幅3.5m以下 (自動車の幅+1mまでで、積載物は左右ともに0.5m以上はみ出してはならない) |
長さ | 自動車の長さの1.1倍 | 全長20m以下 (自動車の長さの1.5倍まで) |
高さ | 貨物積載時に3.8mを超える場合 (高さ指定道路は4.1m) | 全高4.3m以下 |
ロープの結び方
ロープの結び方は、荷物の落下防止や商品を大切に運搬するために重要です。自己流の結び方ではなく、ロープの結び方を覚えておくと積載物の落下や事故を防ぐことができます。では、主に使われるロープの結び方を紹介します。
南京結び
(引用元:引越れんらく帳)
南京結びは、トラックの荷物を固定する結び方として、定番な結び方です。大きくて重い荷物を固定する際に大変便利です。結んでいる途中でロープが緩まないように常に入念なチェックをします。
南京結びの手順は下記のとおりです。
①右手にロープの先端が来るように両手でロープを持ちます。右手は、ロープの先端から2m程度内側部分を持つようにします。
②右手に持ったロープで円型15センチ程度の輪っかを作ります。
③右手に出来た輪っかを左手に持っているロープの上に置きます。
④左手に持っているロープを2番で作った輪っかの下部分に2周巻きます。2周目のロープは、一周目で巻いたロープよりも右手側に来るように巻きます。
⑤4番でできた下側の輪っかを2回ねじります。
⑥1番で余らせておいたロープを5番の輪っかに通して新たな輪っかを作ります。その輪っかをトラックの下部分にあるフックにかけます。
⑦6番で出来た余ったロープを引っ張ります。
⑧余ったロープをくくりつけます。
輸送結び
(引用元:引越れんらく帳)
輸送結びは、しっかり固定できますが、南京結びに比べると張りが強すぎるため、ロープに力を入れて引っ張りすぎると箱などを変形させる恐れがあります。形の崩れやすい物を固定するときは、箱に角当てやクッションとなるものを添えて型崩れを防ぎます。
輸送結びの手順は下記のとおりです。
①南京結びの1〜5までの手順と同じです。その際、南京結びと違う点は、最初に右手側の輪を作るときロープを交差させないようにします。
②八の字ができたら、上部のロープと輪を握って結び、しっかりと締め付けます。
③上側のロープと輪で結び目を作ります。次に下側のロープを下の輪へ潜らせ新しく大きな輪を作ります。
④最後に作った輪をトラックのフックに引っかけ、垂れているロープを下に引いて完成です。
もやい結び
(引用元:orenoDIY)
もやい結びは、もともと船舶に使われている結び方です。荷物を固定するだけでなく、すでに締結されているものを固定する増し締めにも用いられます。南京結びや輸送結びに比べて簡単で、救助や避難の際にも使われています。
しっかり結べていれば、大きな荷物でも固定できますが、南京結びや輸送結びより簡単な結び目となっているため、荷物が均等に積まれていないときや荷台の左右で違う荷物を乗せているときなどは、使うのは控えます。
もやい結びの手順は下記のとおりです。
①荷物にロープをかけて結び目を作りたい場所に輪っかを作ります。
②輪っかの下から一方のロープの先をくぐらせます。くぐらせたロープは反対側のロープの後ろに通します。
③通したロープの先を最初に作った輪へ通し、ロープを引っ張って結べば完了です。
まとめ
この記事では、トラック荷台の名称や荷台のはみ出しルール、ロープの結び方について解説しました。
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- ダンプの荷台にはさまざまなパーツがあり、それぞれの名称と役割がある。
- トラックに積載できる荷物の重さや長さには基準があり、道路交通法57条で定められている。
- 荷台からはみだす場合は、管轄の警察署や交番へ「制限外積載許可」の申請が必要。
- ロープの結び方は、「南京結び」「輸送結び」「もやい結び」の3つ方法がある。